先日、以下の投稿にお客さまからの問い合わせがありました。
鼻あて交換(鼻盛り)
要約すると、
「眼鏡を掛けていて鼻が痛くなる。鼻盛りで改善可能か?」
わりとありがちなお問い合わせなもので、少し整理しつつ説明しようと思いました。
同じような状況の方の参考になれば幸いです。
(写真もない長文です。興味のない方はどうかすっ飛ばしてください。)
まず、鼻盛りの目的について。
大きくは以下の2つです。
・フレームの掛け位置を上げる。
・レンズ・フレームを目・頬から離す。
今回のように鼻あてが当たっている箇所が痛くなるような場合、
鼻あての形状が変わることによって皮膚に触れる面積が増え、幾分痛みが軽減される可能性はあります。
しかしながら、
痛くなる原因が他にいくつも考えられるんです。
あくまで、鼻あての交換による改善は最後の手段。
考えられる原因は以下の通りです。
1)鼻あてと耳の上部だけでフレームを支えている。
(フレームの幅が広すぎて、側頭部に全く触れていない。もしくは触れる面積が小さい。)
2)耳の曲げ位置が前すぎて、鼻あてが強く押しつけられている。
(この場合は、耳の後ろ側もあわせて痛くなるケースが多い。)
3)フレームの左右のバランスが崩れている。
(耳の曲げ位置、左右の開き等。)
4)フレームのフロント部が重い。
(フレームの素材・厚み、レンズの素材・強度などにより。)
パッと思い浮かぶのは以上の4パターン。
これらが複合的に絡んでいる場合も多いです。
ここでポイント。
以上の4パターンのうち、よほど顔の大きさに対してフレームがオーバーサイズな場合を除いて、フロント部の重み以外は全てフレームの微調整だけで改善可能です。
フレームの素材などにより、なかなか思うように曲げられない物もありますが、全く微調整できないフレームはめったにありません。
繰り返しになりますが、
可能な限り頭の骨格にあわせ微調整した上で、最後の手段が鼻あての交換です。
今回お問い合わせいただいたお客さまに対し、
なぜ断言は出来ないと前置きしつつも、おそらくフレームの微調整で改善の余地があるだろうとコメントしたか。
少しご説明します。
ポイントはフレームの形状です。
「EFFECTORのcrunch」というフレームは、以前勤めていたお店でよく扱った懐かしいフレームなんです。
このフレームの特徴は、フレームが肉厚でサイズが小振り。
男性がこのフレームを掛けて側頭部が触れないほど隙間が開くのはちょっと想像出来ません。
(お客さま、男性とは名乗ってらっしゃらないんですが、フレームのデザイン的に決め打ちしてしまいました^^;)
加えて、肉厚な EFFECTORシリーズの中でもこのモデルは天地幅が狭く、レンズも小さめなので極端にフロント部が重くなることも想像出来ませんでした。
ということは、
おそらくフレームの微調整による改善の余地が残されてる可能性が高い、と見立てました。
その後、お客さまがコメントでお願いした お写真を送って来て下さり、
それを見ておおよその判断がつきました。
特に決め手となったのが、メールに書かれていた以下のコメントです。
「鼻の右側に、鼻あての角が当たって特に痛く感じる」
これで確信しました。
片側だけが特に痛くなるケース、この原因はフレームの左右のバランスが崩れているためです。
ちなみに、片方の耳の後ろだけが痛くなる場合も一緒です。
このバランスが崩れている原因もいくつも考えられます。
ここから先はさらに専門的でかつ文章では伝えにくいので割愛しますが、
例えば 右のツルの曲げ位置に比べ、左のツルの曲げ位置が前側すぎるような場合もそのひとつです。
今回のお客さま、
郵送での鼻盛りの前にまず札幌にご用事の際に直接ご来店下さるそうです。
私の予想が当たっているかどうか、ドキドキする気持ちはもちろんもあります。
ですが、むしろ改善して喜んで頂けたら・・と、ワクワクする気持ちの方が遥かに大きいです。
これが楽しくて眼鏡屋やってるもので。^^
以上、長文失礼しました。